「お酒は、人を変える」
そう言う方も居られるけれど、
わたしは、
「お酒は、人を素直にしてしまう」
と思ってるんです。
少し寄り道をした後の帰りの電車。
地下鉄でほろ酔い3人組が
三角形に立つ感じで
談笑して居られました。
男性はどちらもスーツ姿で
30代半ばかそこら。
話しぶりから小柄な眼鏡さんが
先輩で、
背の高い、ひょろりさんは、
眼鏡さんの言葉にひたすら
「ですよね!あはは!」
「そうなんですか!あはは!」
と笑ってる感じ。
わたしが思わず、
「ふっ」と笑いそうになったのが、
彼らの視線なんですよね。
先輩の眼鏡さんは、
身体の向き的には、
後輩のひょろりさんに向かって
話してるんですけど、
お顔と
その正座並みにすわった目線は、
紅一点、
白い柔らかいブラウスを着た
20代半ばくらいの可愛い女の子に
完全にロックオンされていて、
「うふふふふっ」
「うふふふふっ」
ほんのりピンクに染まった頬をした
笑ってるだけの女の子の視線は、
後輩のひょろりさんを
獲物の様に捉えてて、
さて、ひょろりさんの目線は……
電車の吊り広告にありました。
見たいものを見ちゃってましたね、
この方たちは!
誰も聞いてない話と、
誰とも合わさっていない視線、
空虚な笑い声の向こう、
景色のない窓が流れておりました。
でも、お三方とも
幸せそうでしたでしたので、
めでたしめでたしなのです!
きっと!